今日は黒沢清監督の作品『スパイの妻』をご紹介します。主演は、ロマンスドールでも夫婦役を演じている蒼井優さんと高橋一生さん。
1940年の神戸を舞台に、商社を経営する上流市民の男と妻が、国家の目をくぐり抜け、機密情報を暴こうとするサスペンス映画
この記事では、あらすじやストーリーを振り返り解説、ラストシーンなどにも触れていきます。結末やネタバレを知りたくない方はご注意ください。
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映画『スパイの妻』のあらすじ

太平洋戦争間近の1940年。
満州で国家機密を知ってしまった優作は、事の顛末を世に知らしめようとする。
妻である聡子は夫を信じ、たとえスパイの妻と言われることになっても、愛する夫とともに生きることを心に誓うが…。
映画『スパイの妻』の作品情報
制作国 | 日本 |
制作年 | 2020年 |
監督 | 黒沢清 |
キャスト | 蒼井優 高橋一生 東出昌大 |
上映時間 | 115分 |
映画『スパイの妻』の監督
スパイの妻の監督を務めたのは、日本映画のドンでもある黒沢清監督。
黒沢清監督
出典:https://wos.bitters.co.jp/
さまざまなジャンルの映画を撮ってきた黒沢監督ですが、歴史ドラマを撮るのは今回が初めての挑戦
映画『スパイの妻』のキャスト
福原優作役:高橋一生
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国家機密を知り、正義感から公表しようとする貿易会社の社長で聡子の夫・優作役には、高橋一生さん
福原聡子役:蒼井優
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主人公、国家機密を知ってしまった夫を支える妻・聡子役には蒼井優さん
津森泰治役:東出昌大
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神戸憲兵隊の分隊長の津森を演じたのは東出昌大さん。
【ネタバレ】聡子や優作が知ってしまう国家機密は実話?
夫婦が知ってしまう国家機密とは、満州で行われていた人為的拡散です。
本作はフィクションですが、731部隊を描いているのではないのかと意見が多くありました。
731部隊とは、第二次世界大戦の頃に存在した研究機関で、満州に拠点を置き、兵士の感染症予防の傍ら、人体実験や生物兵器の実験を行っていたと言われています。
あくまでも物語の構成の一つです。
スパイと時代背景
本作は『スパイの妻』というタイトルですが、いわゆる「スパイ」といった意味はありません。
印象的だった聡子のセリフ
私は一切狂っておりません
でもこの国にとっては狂っているということ
優作の裏切り
劇中では、聡子と優作の2人は別々に亡命するのですが、何者かの報告を受けてやってきた津森たち憲兵隊にあっさり”聡子”は捕まってしまいます。
取り調べを受けても黙秘する聡子に対し、憲兵隊たちは夫婦のフィルムを奪いますが、そこに映し出されたのは優作が聡子を撮った映像だけでした。
聡子は優作の裏切りに対して狂ったように「お見事!」と言いますが、それは優作が聡子を危険に晒せないようした選択だったのでしょう。
あの時代における男女の関係性を上手く映画的に落し込んだ演出だったように感じます。
ラストシーンについて考察
ラストでは、優作の死亡が確認された書類は偽造だったこと、聡子がアメリカに渡ったなど文字説明されています。
夫の死亡を証明書には偽装の跡が見られた
夫はムンバイから米国行きの船に乗船後、日本軍の潜水艦により撃沈されたという情報を信じていたので驚きました。

これまでのストーリーがすべてひっくり返されることに…
本当にスパイだった説
やはり優作の死亡証明書が虚偽のものだとすると、別のストーリーが浮かび上がってきます。
私の見解は、満州の「非人道的な行い」を見た結果、正義感に駆られて行動していると思っていましたが、妻は本当にスパイの妻だった可能性も。
もし優作がスパイだとすると、物語で登場した「小さな出来事」がパズルのピースのように上手くカチッとはまって説明ができます。
優作の目的とは?
劇中でも語られていますが、米国の参戦を促し、連合国側に勝利をもたらすこと。
機密文書を米国側に触れさせ、米国が連合国側に参戦する理由を作ろうとしました。
最終的に、妻と二手に分かれ、憲兵側の注意を妻側に集中させ、自分は安全に日本を脱出。
そして機密文書が米国に渡り、米国の第二次世界大戦への参戦を促すことに成功したのでしょう。
日本が焼け野原
結果、妻が残った日本は焼け野原になりましたが、それが夫の雇いの主「連合国側」が望んだことだったのです。
そして1945年3月、精神病院にいた聡子でしたが、空襲を受けた神戸の街は焼け野原になり、さまよう彼女は海辺で泣き叫ぶというラストに。
スパイの妻が『ひどい』と言われる理由
本作は戦争映画。その中で生きなければならない人間が投影されている作品でもあります。
やはり戦争で起こった出来事を描いているシーンは目を背けたくなるものです
視聴者からも意見は賛否両論で、さまざまな意見がネット上にはあふれました。
終わりに
以上、映画『スパイの妻』をご紹介しました。
本作を観終わったときに感じたことは、良くも悪くも映画というよりは大河ドラマという感じでした。
その理由の一つに、NHKが制作しており、かつ元々はドラマだったということが挙げられます。
でも美術へのこだわりが強く感じられて、時代を感じさせる完成度の高い演出です。

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