今回ご紹介する映画はビバリウムです。マイホームを夢見るカップルが一度踏み入れたら戻れない迷宮にハマっていくラビリンス・スリラー
綺麗なくらい不気味で気持ち悪い、素晴らしいカラーマネジメント。分譲住宅ではなく注文住宅を買った方がいいと思わせる作品です。
この記事では、そんな人気映画のストーリーやラストシーンを解説、ネタバレを知りたくない方はご注意ください。
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映画『ビバリウム』のあらすじ

不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー。
新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder(ヨンダー)」を紹介される。
内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。
2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。
住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。
中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており訳も分からないまま世話をすることに。
追い詰められた2人の精神は次第に崩壊し…。
引用:映画ドットコム
映画『ビバリウム』の作品情報
製作国 | ベルギー・デンマーク・アイルランド合作 |
製作年 | 2019年 |
原題 | Vivarium |
脚本 | ギャレット・シャンリー |
監督 | ロルカン・フィネガン |
出演 | イモージェン・プーツ ジェシー・アイゼンバーグ |
上映時間 | 97分 |
映画『ビバリウム』の監督
出典:https://www.imdb.com/
ロルカン・フィネガン監督
アイルランド生まれのグラフィックデザインの学士号をもつロルカン監督。今後の活躍が注目される監督の一人
映画『ビバリウム』のキャスト
キャスト陣も人気俳優が出演しています。
出典:https://www.imdb.com/
トム
ジェマの彼氏。ジェマとともに抜け出せない世界「ヨンダー」に閉じ込められる。ドジだけど一生懸命な人
ジェマ
出典:https://www.imdb.com/
トムと一緒に新居を探しにやってきて事件に巻き込まれる主人公。頑張り屋さんです
映画「ビバリウム」のストーリー
以下、ネタバレに触れていますのでご注意してください。
冒頭シーンが鍵を握る
出典:https://www.imdb.com/
ビバリウムを観終わったあと「よくわからないなぁ…」と感じる人も多いと思います。
この本作を紐解く鍵となるのが、冒頭シーンの「カッコウの托卵」です。
カッコウの托卵
カッコウはモズなど他の鳥類より早く大きくなります。ほかの種類の雛や卵を巣から落としてしまう事で、親が運ぶ餌と巣そのものを独占します。
そして育ったカッコウは一人で飛び立っていくのですが…最後まで観ると、この冒頭のシーンがこの作品の大きなテーマになっていることがわかります。
ビバリウムは「社会風刺を込めたスリラー映画」だった
出典:https://www.imdb.com/
不思議な住宅地に閉じ込められ、強制的に“子育て”をさせられる哀れな若いカップル…
この映画を一言で表すと「ただ家が欲しかったのに…」
何をどうしてもそこから抜け出すことはできず、誰の子かも分からない子供の奇妙な振る舞いが二人を更に追い詰め、精神を崩壊させていく。
穴を掘ることで脱出できる可能性を探るトムは、繰り返しの毎日で穴掘り作業に明け暮れる日々、これは仕事への社会風刺であり、住宅ローン返済のために仕事へ向かう様子を皮肉っているのでしょう
トムは男の子を餓死させようとしましたがジェマは必死に止めます…
この様子も露骨に子育てを風刺していて、寝て起きて仕事へ行くトムに対して、男の子の面倒を見るのはジェマだけ。日本の昭和時代と似ています。
古風な考え方の家庭像を映しています
実際のところ、アメリカでは「ヨンダー」のような郊外の住宅地が、リーマンショック期に立てられるも、金額の高さで売れ残り、人がまったくいない街があったそうです。
結末
出典:https://www.imdb.com/
ヨンダーの街の特徴の一つに、すべてが人工物であることが挙げられます。現代の大量消費社会への皮肉も込められているように感じました。
先進国で暮らす私たちには、生活する上で必要なものはすべてそろっている環境です。
その中で、社会はいかに「不必要なモノ」を必要だと思わせるかに奮闘しています

それが、「マイホーム」です
マイホーム
不動産屋は、マイホームを手にすることで、理想の暮らしや充実した生活が送れることを謳い、若いカップルに住宅を売りつけるのですが、経済的に裕福でもないと支払いに苦しめられることに…
この構図が二人で育てた男の子の関係性を風刺していて冒頭のカッコウにつながります。
つまり、あの男の子は、人間の「育てる」という社会的慣習を利用して成長するカッコウだったかと思います
そして育ったカッコウは、トムとジェマのように、また同じ若いカップルを「ヨンダー」へと誘い込む不動産屋でした。
ビバリウムの「子供の正体」はそもそも人間?
出典:https://www.imdb.com/
トムとジェマが育てる事になった子供は、常に2人を監視しており、会話や仕草を真似しています。
空腹になった時は、かなり耳障りな奇声を発するのですが、自分の言葉を持っていないからでしょう。
なにより成長が早い…これらから、人間ではないことは容易に想像できます。
男の子も皮肉な運命をたどる
出典:https://www.imdb.com/
この映画が面白いのは、マーティン側も皮肉な運命を辿る内容が描かれているところ。
息子が新たなマーティンとして入れ替わり、回収した死体袋には番号数字が…
彼もまた、急速に成長することで、新たなマーティンとなる育ての親を見つける人生であることが分かります。
ビバリウム「ヨンダー」の解放
出典:https://www.imdb.com/
子どもを育てれば解放する
そんなメッセージとともにやってきた男の子でしたが『解放』について2つの意味があるように感じます
一つ目はトムとジェマの解放
この解放の意味は、結末通り死を意味します。
もう一つの解放が、男の子の解放
赤ん坊だった男の子は、トムとジェマの死を見届けると、ヨンダーの街から出て行きます。
このシーンからも、息子が成長し、社会に出る準備ができていることを解放としたのでしょう。
そもそもトムとジェマの死因とは?
最後はトムとジェマの死因について解説。社会に出る準備できた子供が「子供を育てた親は死ぬんだよ」のシーンを振り返ってみます。
トムは若干精神に異常をきたしてしまい、延々と庭に穴を掘り続けます。それで衰弱してしまったのか何なのかは分かりませんが死んでしまいます。
ジェマは、大人になった少年を殺そうと試みるが、別世界に逃げられてしまう。
その世界から抜け出そうとするが、やはり元のループに戻ってきてしまい、9番の家から抜け出せないジェマは、最終的には衰弱して死んでしまう。
そして”大人になった少年”は、トムとジェマの死体袋をかつてトムが庭に掘り続けた穴に放り、不動産屋に車で向かいます。
子供が親の生命力を吸っていた表現でもあると良かったのですが、ただ衰弱死というのは分かりにくかったですよね。
【まとめ】ビバリウムについて
以上、ビバリウムをご紹介しました。本作を一言でまとめると『社会風刺を込めたスリラー映画』好みが分かれる作品なのは間違いないでしょう。
日本のスターであるタモリさんのドラマ番組、『世にも奇妙な物語』シリーズが好きな方は楽しめると思います。

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