今日は、ミステリー映画『母性』を紹介します。
累計発行部数120万部を突破した湊の同名小説に基づく本作は、女子高生が自ら命を絶った未解決事件を、母と娘の視点で映し出す物語
2021年放送のドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」で先輩・後輩役として息の合った掛け合いを見せた、戸田恵梨香と永野芽郁が母娘役を演じ話題になりました。
そんな大ヒット映画ですが、ネット上では気持ち悪いと炎上しているようです。
個人的には大好きな映画なので、おうち映画館の編集者が情報を集めてみると、主演キャストの年齢設定が炎上した理由に深く関係しているとわかりました。
そこで今回は、主演キャストの二人に着目し、こんな素晴らしい名作映画が『気持ち悪いと炎上することになった理由』を詳しく解説していきます。
映画『母性』のあらすじ
事故なのか、事件なのか、女子高生が自宅の庭で首を吊る事件が起きた。発見したのは少女の母。物語は、悲劇に至るまでの過去を母と娘のそれぞれの視点から振り返るが…
映画『母性』の作品情報

制作国 | 日本 |
制作年 | 2022年 |
監督 | 廣木隆一 |
キャスト | 戸田恵梨香 永野芽郁 高畑淳子 大地真央 三浦誠己 山下リオ |
上映時間 | 115分 |
映画『母性』のスタッフや原作・キャスト
恋愛映画を多く手掛けてきた廣木隆一さんが監督。東京国際映画祭では、
- あちらにいる鬼
- 母性
- 月の満ち欠け
有名タイトル3本が同時期公開で、何度も登場する様子が印象的でした。
原作は、湊かなえの同名小説になります。
- 告白
- 贖罪
- 白ゆき姫殺人事件
本作は、これだけの人気作品を世に生み出してきた彼女が、作家を辞めてもいいとまで語るほど描きたかったテーマだったそうです。
戸田恵梨香さんは3年ぶりとなる映画出演。
本作の首を吊った少女の母親(ルミ子)を、不気味にも哀しく切なく見事に演じていました。
一方の少女役(永野芽郁)さんは、人気ドラマに引っ張りだこの売れっ子女優さん。
2021年放送のドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」以来の再び共演のお二人です。
映画『母性』の構成

先に感想をお伝えすると、原作とは別物に感じました。
原作では、「母の手記」と自殺未遂によって意識不明になった「娘の回想」を繰り返していきます。
この物語の構成は、大きく分けると3つ。
- 母性
- 母の手記
- 娘の回想
それぞれについて解説します。
母性
原作者の湊かなえさんが伝えたい『母性』とは、インタビューではこのように答えておりました。
女性であれば誰でも「母」になれるのでしょうか。そもそも、形もなく目にも見えない「母性」は、本当に存在しているのでしょうか。
湊かなえ『母性』新潮社インタビューより
母であるよりも娘でありたい母親。母親からの愛情が感じられないからこそ、愛情を深く求めてしまう娘
本作は、自分は母親になれるのだろうか、母性はあるのだろうかと悩む人に刺さる物語だと思います。
母の手記・娘の回想
映画を観て原作と別のように感じたのは、母親が都合よく記憶を捻じ曲げているように見えてしまうことでしょう。
映画では、ミステリー要素を強めているのですが、映画では真実が明らかになっていく物語のように見えたのは残念。
原作は、あくまでも「娘の回想」であり、意識不明となっている娘の頭の中の回想として描かれていました。
母と娘の関係性

映画だけを見ると、母と娘の明らかな人間性の違いを感じると思います。
母と娘の噛み合わない様子を描きつつも、それと同時に、2人が非常に似ている共通点は…
母親に愛されたい
本作の軸でもあり、湊かなえさんが伝えたいメッセージだったのでしょう。
映画『母性』がつまらない理由はキャスト?
素晴らしい女優さんなので、演技でカバーはされているものの、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」で先輩・後輩役の印象が強く、話題を狙った感はありましたよね。
やはり年代も近いこともあり、ちょっと無理があったなーと思います。
それでも素晴らしい名作映画なのは間違いありません。
まとめ
以上、映画『母性』の紹介でした。
なんとなく自分の家族を思い出す作品で胸が痛かったです。
本作を観て感じた母性とは、偉大で温かく恐ろしい感情。これほどまでに支配力のあるものはないのでしょう。
子どもにとっては愛だから…
どんな形であれ求めてしまうもの。
1人でもう一回じっくり見たくなる作品でした。
