ノマドランドのラストシーンを考察!ファーンの心情が揺れる

ノマドランド

今日ご紹介する映画は『ノマドランド』です。

最愛の人や町を失い最終的に辿り着いた生き方が深く心に沁みるストーリー

この記事では、そんな人気映画のストーリーを振り返りラストシーンを考察、ファーンの心情にも触れていきます。

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映画『ノマドランド』あらすじ

『ノマドランド』予告編

ネバタ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン。企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまうことに

キャンピングカーに亡き夫との思い出や、人生の全てを詰め込みノマドとして車上生活を送

過酷な労働の現場を渡り歩きながらも、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねる。

誇りを持って自由を生きるファーンの旅は、果たしてどこへ続いているのか…

アカデミー賞『ノマドランド』の映像美

映画館で観れて良かったと思う映画でした
以下の通りです。

  1. 自然を写す美しい映像
  2. 心地よい音楽

でも『ノマドランド』を観てノマド生活をしたいと思う人は少ないでしょう。

ファーンがノマド生活をはじめた理由

ノマド生活と聞くと、皆さん何を思いますか?
昨今で話題になっている場所にとらわれない働き方の「ノマドワーカー」のイメージを持ちますよね。

しかし、ノマド生活の実情はあまりにもかけ離れていました。

ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンはエンパイアに暮らしていましたが、町を支えていた工場の閉鎖によって職を失い生活が行き届かなくなるところから始まります

共にに暮らしていた夫も亡くしていたため、住まいを転々としつつ、季節労働者として車で移動しながらの生活を送ることに、過酷な道を歩みます。

Amazonとノマド生活者の関係性

企業の衰退によって職を失ったファーン。経済的に厳しいノマド生活者たちにとって、給料の良いアマゾンでの仕事は大きな収入源となっているのです。

  • 繁忙期にアマゾンの工場を支えているのがノマド生活者
  • アマゾン側は駐車場と高い給料を提供し、そこで働くノマド生活者

直接的な因果関係はないにしても、アマゾンの社会的影響力は大きく、さまざまな企業が廃業に追いやられたのも事実。

ノマド生活の厳しい現実

なによりノマド生活者たちの多くは「高齢者」という実態。これが現実です。

アメリカでは、年金だけでは老後を暮らしていけない家賃のかからない高齢のノマド民が増えているそうです

このように、映画全体を流れる空気感が、その生活の厳しさを物語っているからで、ファーン自身も孤独や喪失感に満ちているからなんですよね。

ただ、本作が本当にすごいのは、そんなノマド生活者の生き方を、ある種ドキュメンタリー的に描きながら、それでも憧れや豊かさが見えるところ…

ドキュメンタリーとフィクションの垣根がないように感じる演出

毎日を忙しく生きている私たちにとって、「この瞬間に消えてもいい」と思える景色や人との出会いというのは羨ましいと感じてしまうもの。

そして、それが作られたものではなく、リアルなものだとわかるエンドロール。素晴らしいサプライズでした。

なにより『ノマドランド』は、主演のマクドーナンドとストラザーン以外は、リアルなノマド生活者たちを本人として出演させているところは感銘を受けました。

ドキュメンタリーとフィクションの垣根がないように感じる!

ラストシーンでエンパイアを離れた理由とは?

ノマド生活をしつつも、エンパイアの周辺から離れることができずにいたファーン。

それでは、なぜラストにエンパイアを離れる選択ができたのか?

次の項目では、ストーリーを振り返り、その点について考えてみます。

ホームレスじゃなくてハウスレス

本作の中で、個人的に印象に残ったのは、冒頭のこのセリフが胸に焼きついています。

プライドのようにも聞こえる言葉ですが、作品全体を観るとノマド生活者のアイデンティティだと理解できるからです。

この言葉は『ノマドランド』という作品の本質を表現しているのでしょう。

ファーンの心情

コミュニティが去ってもその場に留まっていたり、誰かと一緒に自然を訪れても一人でフラフラと進んで行ったり。

一時的にはコミュニティに属していても最後には必ず1人での時間を意図的に作っていることがわかるのです。

それは彼女にとってのホームが夫と暮らしたエンパイアにまだあるからなのだと思います。

ボブとの出会い

拠り所を失っていたファーンは、ノマド生活で心を許せる友人、ボブ(女性)と出会います。

彼女と過ごす時間は、心から笑い合っているようで、とても幸せそうでした

ノマド生活者の先輩でもあるボブは、ラストには死んでしまうのですが、彼女の生き方は、ファーンの心を変えるきっかけになりました。

さよならは、別れではなく、また会える

ファーンの心境の変化

夫と町を失ったファーンにとって、モノとしての思い出こそが夫の記憶をつなぎとめていた。

彼女はノマド生活での出会いと別れを通し、さよならは別れではなく再会だと理解したのでしょう。

ラストに夫との思い出が詰まったエンパイアの荷物を引き払った理由はそこにありました。

自分の人生を歩み始めた瞬間でもあります。

ノマドランドのまとめ

以上、名作ロードムービ『ノマドランド』をご紹介しました。最高の映画です。

この作品を見て、ノマドという生き方を賛美する映画だと捉える方がいると思います。

本作は、ノマドという生き方につきまとう負の側面や社会的階層な部分にも焦点を当てています。

  • 新しい出会いを求める者
  • 自由を求めて旅をする者
  • やり残したことを探す者

悲哀と皮肉の向こうに、それでも燦然と輝く精神的な「解放」や「自由」とは?

作品を通じて私たちに問いかけ続けた内容だとも思えます。深く考えさせられました。

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