【感想評価】『ノマドランド』ファーンの心の変化をネタバレ解説

『ノマドランド』ファーンの心の変化をネタバレ解説

今日ご紹介する映画は『ノマドランド』です。ノマドたちが語る言葉がリアルで心に響く作品

アメリカの雄大な自然の映像を織り交ぜながら、主人公のファーンの心の変化に迫っていくドキュメンタリーです

最愛の人や町を失って最終的に辿り着いたノマドという主人公の生き方が身に沁みます。

この記事では物語に触れている箇所がございますので、未鑑賞の方、ネタバレを知りたくない方はご注意ください。

以下目次からどうぞ!
この記事を書いた人
  1. 映像関係の学校卒業
  2. 映画ノート歴 : 3年
  3. 大手VODはすべて加入済み
  4. アニメ・邦画・洋画オールOK
  5. 実際に観た作品をレビュー紹介
スポンサーリンク

映画『ノマドランド』の作品情報とあらすじ

Twitter

こんな方におすすめします

オススメ度
低い
高い
年齢
10代~
20代~
30代~
40代~
50代~
対象
男性
女性

作品情報

制作年2020年
制作国アイルランド・イギリス
監督フィリダ・ロイド
原題Herself
出演者フランシス・マクドーマンド
上映時間108分
実話×
オススメ度

あらすじ

ネバタ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーン。リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまうことに。

キャンピングカーに亡き夫との思い出や、人生の全てを詰め込んだ彼女は現代のノマドとして車上生活を送りながらも、過酷な労働の現場を渡り歩き、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ねる。

誇りを持って自由を生きるファーンの旅は、果たしてどこへ続いているのか…

アカデミー賞『ノマドランド』のスタッフ・原作

Twitter

監督

クロエ・ジャオ監督
  • マーベル映画でMCU作品の『エターナルズ』を手掛けることも発表されている注目の監督
  • ロケ地に住んでいた人をキャスティングするなど、リアリティへのこだわりが伺える
  • Netflixで配信の怪我を負ったカウボーイを描いた映画『ザ・ライダー』も手掛けています
画像(右奥)です!

原作「ノマド漂流する高齢労働者たち」

原作は、ジェシカ・ブルーダーのノンフィクション「ノマド漂流する高齢労働者たち」です。

口コミ

この映画のタイトルにあるノマドというのはノーマッドというワードのほうがしっくりくる。

ヨーロッパ的な映画だと感じました。中高年だけでなく、厳しい現代を生きる若い人にも響くことでしょう。

(Amazonカスタマーレビューより)

『ノマドランド』メインキャスト

Twitter

主役

フランシス・マクドーマンド
  • ミシシッピー・バーニング
  • ファーゴ
  • スリービルボー
主な出演作

すでに2度のオスカーに輝いた実力を持つフランシス・マクドーマンド。

本作でも「リアリティ」で人を魅了させる素晴らしい演技をしていました

※以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

【ネタバレ感想】アカデミー賞『ノマドランド』

映画館で観れて良かったと思う映画でした。以下の通りです。

ノマドランド
  1. 自然を写す美しい映像
  2. 主人公に寄り添うように流れる音楽

誰が観ても美しいロードムービーに酔いしれると思います。

でも『マドランド』を観てノマド生活をしたいと思う人は少ないでしょう。

『ノマドランド』ファーンがノマド生活をはじめた理由

ノマド生活と聞くと、皆さん何を思いますか?

やはり昨今で話題になっている場所にとらわれない働き方の「ノマドワーカー」のイメージを持ちますよね。

しかし「ノマド生活」の実情はあまりにもかけ離れていました。

ファーンのノマド生活とは……

ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、エンパイアに暮らしていましたが、町を支えていた工場の閉鎖によって職を失い生活が行き届かなくなるところから始まります

共にに暮らしていた夫も亡くしていたため、住まいを転々としつつ、季節労働者として車で移動しながらの生活を送ることに…

『ノマドランド』Amazonとノマド生活者の関係性

企業の衰退によって職を失ったファーン。経済的に厳しいノマド生活者たちにとって、給料の良いアマゾンでの仕事は大きな収入源となっているのです。

Amazonとノマド生活者の関係性
  • ハイシーズンにおいて、アマゾンの工場を支えているのがノマド生活者
  • アマゾン側は駐車場と高い給料を提供し、そこで働くノマド生活者たち

直接的な因果関係はないにしても…

アマゾンの社会的影響力は大きく、さまざまな企業が廃業に追いやられたのも事実。

もぐさん
もぐさん

あまりにも皮肉な構造だ..

『ノマドランド』ノマド生活の厳しい現実

なによりノマド生活者たちの多くは「高齢者」という実態。

ノマド生活の闇

実はアメリカでは、少ない年金だけでは老後を暮らしていけない家賃のかからない高齢のノマド民が増えているそうです。

このように、映画全体を流れる空気感が、その生活の厳しさを物語っているからで、ファーン自身も孤独や喪失感に満ちているからなんですよね。

ただ、本作が本当にすごいのは、そんなノマド生活者の生き方を、ある種ドキュメンタリー的に描きながら、それでも憧れや豊かさが見えるところ…

『ノマドランド』ドキュメンタリーとフィクションの垣根がないように感じる演出

フリー画像

毎日を忙しく生きている私たちにとって、「この瞬間に消えてもいい」と思える景色や人との出会いというのは羨ましいと感じてしまうもの。

そして、それが作られたものではなく、リアルなものだとわかるエンドロール。素晴らしいサプライズでした。

なにより『ノマドランド』は、主演のマクドーナンドとストラザーン以外は、リアルなノマド生活者たちを本人として出演させているところも

もぐさん
もぐさん

ドキュメンタリーとフィクションの垣根がないように感じます!!

アカデミー賞『ノマドランド』なぜラストにエンパイアを離れたのか

ノマド生活をしつつも、エンパイアの周辺から離れることができずにいたファーン。

それでは、なぜラストにエンパイアを離れる選択ができたのか。

次の項目では、ストーリーを振り返り、その点について考えてみます。

ホームレスじゃなくてハウスレス

本作の中で、個人的に印象に残ったのは、冒頭のこのセリフ

ホームレスじゃなくてハウスレス

ノマド生活へのプライドのようにも聞こえる言葉ですが作品全体を観るとファーンだけに対しての言葉ではなく、ノマド生活者のアイデンティティだと理解できます。

もぐさん
もぐさん

この言葉は、まさしく『ノマドランド』という作品の本質を表現していると思います。

『ノマドランド』ファーンの孤独

ノマド生活を始めたファーンは、コミュニティに難なく溶け込むことはできていました。

しかし、彼女はそのコミュニティと共に移動することを選びません。

ファーンの心情

コミュニティが去っても、しばらくその場に留まっていたり、誰かと一緒に自然・景勝地を訪れても一人でフラフラと進んで行ったり。

ファーンは、一時的にはコミュニティに属していても最後には必ず1人での時間を意図的に作っていることがわかるのです。

それは、彼女にとってのホームが、夫と暮らしたエンパイアにまだあるからなのだと思います。

ノマド生活にしても、失ったエンパイアにしてもどこか落ち着かない。

もぐさん
もぐさん

だからこそ、劇中のファーンには孤独を感じてしまうのです

『ノマドランド』ボブとの出会い

拠り所を失っていたファーンは、ノマド生活で心を許せる友人、ボブ(女性)と出会います。

彼女と過ごす時間は、心から笑い合っているようで、とても幸せそうでした

ノマド生活者の先輩でもあるボブは、ラストには死んでしまうのですが、彼女の生き方は、ファーンの心を変えるきっかけに

ボブが残した言葉

さよならは、別れではなく、また会える

ノマド(遊牧民)たちの指導者であるボブから聞いたこの言葉。

ノマド生活者たちの多くが、何らかの喪失感や悲しみを抱えていることが多いといいます。

しかし、ノマドたちは「最後のさよなら」は決して言わないのです。

もぐさん
もぐさん

なぜなら、必ずまたどこかで会えると信じているから

『ノマドランド』ファーンの心の変化

夫と町を失ったファーンにとって、モノとしての思い出こそが夫の記憶をつなぎとめていた…

だからこそ、エンパイアを離れることができなかった。

そんな彼女が、ノマド生活での出会いと別れを通して、「さよならは別れではなく再会だ」と理解したのでしょう。

ラストに夫との思い出が詰まったエンパイアの荷物を引き払った理由はそこにありました。

もぐさん
もぐさん

それは、夫との別れでなく、また会えるとわかっていたから。

同時に、過去の思い出に縛られていた彼女が、自分の人生を歩み始めた瞬間でもあります。

【ネタバレ感想】アカデミー賞『ノマドランド』感想

  • 新しい出会いを求める者
  • 自由を求めて旅をする者
  • やり残したことを探す者

それぞれの想いが違うノマドたちの嘘偽りのない真っ直ぐな眼。

何処となく寂しくも美しく、人生の1秒1秒に大切な一瞬が宿っています。

アカデミー賞にふさわしい、非常に優れた作品でした。

アカデミー賞『ノマドランド』まとめ

しかし、この作品を見て「ノマド」という生き方を賛美する映画だと捉える方がいるかもしれないが、決してそうではないことは明白です。

むしろ、本作は、「ノマド」という生き方につきまとう負の側面や社会的階層な部分にも焦点を当てています。

悲哀と皮肉の向こうに、それでも燦然と輝く精神的な「解放」や「自由」とは何なのか?

作品を通じて私たちに問いかけ続けた内容だとも思えます。

以上、名作ロードムービ『ノマドランド』をご紹介しました。

COMMENT

タイトルとURLをコピーしました