第94回アカデミー賞で作品賞など3冠に輝いた映画『コーダ あいのうた』を紹介します。
シアン・ヘダー監督による作品で、覚障がい者の家庭で育った健聴者の少女を主人公にしたヒューマンドラマ
この記事では、主人公ルビーの視点でストーリーを解説。最後の手話の意味からテーマを考察しお伝えしていきます。
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映画『コーダあいうた』のあらすじ
© Apple TV+/Photofest/Zeta Image
4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる健聴者のルビー。彼女は幼い頃から家族のために通訳となり、家業の漁業も手伝っていた。高校の合唱クラブで先生に歌の才能を見出され、音楽大学への受験を勧められるが…。
映画『コーダあいうた』の作品概要
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制作国 | アメリカ・フランス・カナダ合作 |
制作年 | 2022年1月21日 |
監督 | シアン・ヘダー |
キャスト | エミリア・ジョーンズ トロイ・コッツァー マーリー・マトリン ダニエル・デュラント フェルディア・ウォルシュ=ピーロ |
上映時間 | 112分 |
映画『コーダ あいのうた』は実話?
本作は、2014年にフランスで製作された『エール!』という作品のリメイクです。
原作にはモデルとなった家族いましたが、映画版は実話ではありません。
オリジナル作品との違い
- 家業を酪農から漁業に変更
- 耳の聞こえない状況をより詳しく演出
物語の流れは基本的には同じです。
PG12の理由について
PG12作品とは、小学生には助言・指導が必要という意味になり、コーダあいのいうたのPG12指定理由は以下のシーン
家族が、公然とマリファナを吸うシーン
それ以外にも、ソフトな感じで障害者の性について描かれております。
映画『コーダ あいのうた』のキャスト
コーダのキャストが絶賛された理由に、耳の聞こえない俳優が演じていること。
まず、キャストについて紹介していきます。
© GAGA Corporation. All Rights Reserved.
主演のルビーを演じたのは、2002年生まれのイギリス出身の俳優、エミリア・ジョーンズ
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ルビーの父、フランクを演じたのは、アメリカ出身の聴覚に障がいのある俳優、トロイ・コッツァー
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ルビーの母、ジャッキーを演じたのは、1歳半で聴力を失った俳優、マーリー・マトリン
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ルビーの兄、レオ役を演じたのは、アメリカ出身の聴覚に障がいのある俳優、ダニエル・デュラント
タイトルの「CODA(コーダ)」の意味とは?
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CODAとは「Child of Deaf Adults」の略語。聴覚障がい者の親に育てられた子どもという意味です。
本作のルビーがまさしくCODA(コーダ)であり幼い頃から家族の通訳として支えてきた少女
日本の24時間番組のような「暗い話なのかな」と思いそうですが、とても明るく楽しい作品です。
それに、CODAという音楽用語には、次の章が始まるという意味もあります。
家族を支え続けるか、自分の人生を歩むか。新しい人生の始まり
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朝早くから漁業を手伝い、幼い頃から家族の通訳となって支えてきた彼女ですが、自分だけ健聴者であるルビーは葛藤の日々を送っていました。
- 学校では変人扱いされても耐えている
- 両親の性事情までも把握しなければならない
明るくて楽しげな家族と生活する一方、誰にも言えない深い孤独を抱えていたのですが、あることがきっかけとなり人生を変える転機に。
音楽との出会い
聴覚障がい者の家庭で育ったルビーは、これまで「言葉が変」と言われてきたことで、人前で歌うことを怖がっていました。
そんなルビーに顧問のV先生は歌の才能を見出し、ボストンのバークリー音楽大学の受験を勧めます。
歌が好きで、才能があるのに理解されない。自分の才能を一番知ってほしい家族に伝えることができない。
彼女の人生の始まりでもあるのですが、家族を支え続けるか、自分の人生を歩むか選択をすることになります。
ルビーの歌と家族の愛情
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劇中では、ルビーが家族を前にして歌うシーンがあります。
- 学校でのコンサートシーン
- コンサートから帰った夜のシーン
- 音大の受験シーン
それぞれについて解説します。
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劇中では、家族の視点からルビーをみた様子を体感させるため、ルビーが歌うシーンを「無音」で映していました。
ルビーが一生懸命に歌っていても、両親は違う話をしていたり、家族の間の距離感を明確に感じるシーンでもあります。
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家族は彼女の歌声を聴くことができないため、本当に才能があるのかわからない複雑な気持ち。
そんな父フランクが、自分のために歌を歌ってほしいとルビーに伝えます。
フランクはルビーの喉に手を当て、その振動を頼りにルビーの歌を感じ取ろうとするシーン
ただ歌を聴こうとする気持ち。それこそが父フランクの愛の表現でもありました。
© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
バークリー音大の受験の数日前に、家族は政府の監視員から注意されます。
ルビーに頼らず漁に行く家族は、たまたま政府の監視員が同乗する中、緊急の無線に気付かないで漁を続けていました。
このことを知ったルビーは、夢をあきらめて家業を助けることを決意することに。
しかし家族の気持ちは違いました。ルビーに音大へ行ってほしいと悲願します。
見守る家族の姿に勇気を得たルビーは手話を交え、受験会場で心を込めて歌いました。
それは受験に受かるための歌ではなく、家族に歌を届けたいという愛の表現だったのです。
新しい旅たち
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ルビーの表現力は審査員に認められ大学を合格。旅立ちの日、家族は抱き合ってお互いの絆を再確認し、笑顔でルビーを送り出します。
残された家族の漁業
- ルビーの役割を誰が担うのか
- 彼らだけでやっていけるのか
その後を描くことはありません。障がい者をテーマにしたエンタメで終わらせない、素晴らしい余韻を残すラスト。

最後まで見事な作品でした!
最後の手話の意味とは?
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ルビーがボストンへ出発した時、映画のラストで彼女が家族に向かって差し出した手話の意味が気になりますよね。
アルファベットの「I」「L」「Y」を組み合わせたもので、「I Love You」という意味になります。ルビーの気持ちが伝わるラストにふさわしい手話でした。
映画『コーダ あいのうた』のまとめ
歌と静寂。聴者とろう者。同じ場面でも見えてる世界の違いをまざまざと見せつけつつも、登場人物たちの想いに浸れる温かい人間模様。
さりげない街や自然の柔らかさ、美しさも郷愁を誘いました。多くの人の胸を打つ作品になったことでしょう。久々のおすすめ映画です。
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